超越論的還元とは超越論的な主観性という領域をあらわにする操作である。還元を導く操作であるエポケーとは、自然的態度において固定したものとして眺めている世界の固定性を剥ぎ取って動性へと立ち返る作用である。エポケーによって定立された存在がかっこに入れられ(つまり固定した姿という殻を剥ぎ取られ)、(動的な)「現象」があらわになる。フッサールにおいてはおもに志向性があらわになった。とすると、超越論的還元とは、世界をそのつどの湧出の運動として眺める視点を獲得することである。
ある意味で、世界は神によって支えられているのだから瞬間瞬間に創造され直すことで存続していると考えたとされる、デカルトの連続創造説création continueに類比的な、瞬間瞬間の生成そのものを眺める視点を獲得することである。
つまり、現象学的な視点のもとでは世界はつねに動的なものとして現れる。このことは現象学的な質的研究に他の社会科学の技法とは大きく異なる特徴の一つを与えることになる。統計を用いる方法論は、対象を断片化し要素として固定するため、事象(実践、経験)の動的な展開は掴み取りにくくなるのである。これに対し、現象学は経験のダイナミズムそのものへと注目していくことになる。さらに追加すると瞬間瞬間のダイナミズムだけでなく、持続的な変化を捕まえる視点も持つことになる(この点はベルクソンの「持続」概念を参考にすることで、さらに豊かになるはずだ)。











